いりこ出汁の、香り。 THE SCENT THAT STARTED IT ALL
大正十年、日向のまちに灯った
小さな暖簾。あれから百年。
所持金の尽きた日向駅で下車した一人の男――長友岩次郎。空腹のなか駅前で漂ういりこ出汁の香りに引き寄せられ、夢中でうどんをすすった一杯が、すべての始まりでした。
代金を払えず深く詫びる岩次郎に、店主・中村勘一夫妻はこう声をかけたといいます。「うちで働いてみないか」――そこから三年の修業を経て、岩次郎は34歳の春、自らの暖簾を掲げました。
戦火を越え、時代を越え、それでも変わらなかったもの。それは、お客さまの「美味しい」という一言と、暖簾を守る職人の誇りでした。
初代がご夫婦から受け継いだ当時から、肉うどんが大人気でした。牛バラ肉を使うことや味付けは、当時から変わりません。
—— 四代目店主 長友健治 出典:100年食堂(読売広告社運営)2019年4月16日掲載大正十年